1.大人の姿勢-3

2.楽な姿勢


あぐら
あぐら(胡座)は、日本人にとって、昔からある座り方の一つです。
鎌倉時代までは、床は板張りでした。テレビの時代劇で再現されていますね。
親方さまがあぐらで座るところだけ畳1枚が敷かれていて、あとは板張りです。
家来共は板張りの上にやはりあぐらで座ります。


 注目してほしいのは、背すじです。
猫背のあぐらをかいているお侍はいないでしょう。
もちろん座布団なんかありませんから役者さんたちも大変だと思います。
真似してみると、そのつらさはすぐにも分かります。
写真4の姿勢ですね。10分続けられたら立派な方です。


なぜでしょうか。
文明の利器に囲まれた生活の中で、およそ力仕事といえるものはまったくなくなり、
そのせいで、現代人の背筋力が弱くなってしまったからなのです。
無雑作にあぐらをかけば、写真5のように猫背になってしまうのが普通です。
鎌倉時代の有名な道元禅師(曹洞宗の開祖)は坐禅の結迦趺座(けっかふざ)(写真6)の姿勢を
「耳は肩と対し、鼻とへそは対せしめるを要す」と書いています。
横から前からの姿勢を、またそのまま立ち上がればまさに身長通りを簡潔に表現しています。

畳が部屋一面に敷かれて、畳の生活が始まったのが安土桃山時代といいますから、
日本人の畳の上に座る伝統は400年を超えています。
畳の上の座り方として、正式には正座、くつろいだ時にはあぐらというのが定着したのは江戸時代だそうです。
この習慣は昭和20年までは続いたと思います。
筆者が小・中学生の頃は、座卓の前で正座で食事というのは当り前で、
仮張りの上での正座でも1〜2時間は平気でした。
足がしびれるなんてこともありませんでした。もちろんあぐらもかきました。
生活が洋風化する中で、最近のマンションでは畳の部屋が全くないというのも珍しくないようですが、
座る伝統はそう簡単になくならないはずです。
例えば会社の社員旅行の行先は、温泉旅館。宴会は畳の大広間でというのが、まだまだ一般的なようですね。
そこでの座り方は、男性ではあぐら、女性では横座りということになります。
では、写真で正座とあぐらとを見較べてみましょう。


床の上に正しく座る正座は、無理なく身長通りになれるのですが、
慣れないと、血流が悪くなるために、足がしびれてきて困ります。
それでも、謡曲、三昧線、日舞、お茶、お花と伝統芸能に励む方々は、長時間の正座でもしびれなくなるものです。
正座のままでも血流がよくなってくるのが分かります。
畳または床の上に座る生活がなくならないからには、やはり正座をまず5分でも10分でもする。
しびれたらあぐらにする。この繰り返しが大事なのではないでしょうか。
そのあぐらも、写真のような猫背が長時間にならないように、
写真4のように座布団を2つ析りにして尻の下に敷くと、背中が伸ばしやすいのです。

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